オランダ駐在で学んだ異文化とキャリア観—「正解」はひとつじゃない

「異文化適応力」という言葉を聞くと、多くの人は「海外でうまくやっていくスキル」と思うかもしれません。でも、実はこれは 転職やキャリア形成 にも大きく関わる話なんです。
私はオランダ・アムステルダムに駐在していましたが、日本との違いに驚くことばかりでした。仕事の進め方、時間の守り方、食文化、価値観…。もし私が「日本の常識こそ正しい」と信じ込んでいたら、きっと苦労ばかりだったでしょう。
でも、そこで学んだのは 「正解はひとつじゃない」という考え方。そして、この考え方こそ、転職やキャリアを考える上でとても大事なのです。
① 「日本の常識」を捨てた瞬間、生きやすくなった
オランダに駐在して最初に困ったのは 「日本食のクオリティ」 です。そば、定食、ラーメン…何でもいいから、ちゃんとした日本食が食べたかった。でも、現地で見つかるのは 中国人経営の「なんちゃって日本食」 ばかり。最初は「こんなの日本食じゃない!」と文句ばかり言っていましたが、しばらくすると 「本物の日本食にこだわるより、これはこれで楽しもう」 と思うようになりました。
これは キャリアにも同じことが言えます。
「大企業にいなきゃダメ」「管理職にならなきゃ成功じゃない」「転職はリスクだ」…こんな「日本的価値観」に縛られていないでしょうか?でも、海外に出てみると、みんなそれぞれ違うキャリア観を持っていて、それが 「正しい・間違い」ではなく、その人の価値観の問題 なんです。
「この働き方じゃなきゃダメ」「この会社を辞めたら終わり」なんてことはない。
そう考えられるようになってから、キャリアの可能性が一気に広がりました。
② 「いい加減」じゃなくて「柔軟」—仕事の進め方に驚いた
オランダで仕事をして驚いたのは、日本の常識が全く通じないこと。例えば、
- 「時間厳守」は絶対じゃない(5分くらい遅れても誰も気にしない)
- 「休むことは大切」(残業なんてほぼゼロ!)
最初は 「なんていい加減なんだ!」 と思いました。でも、彼らの考え方を知ると、ただ単に「緩い」わけではなく、むしろ合理的 だと気づきました。
これをキャリアに置き換えて考えると、
- 転職は「失敗しないこと」よりも「次に活かせる経験を積むこと」が大事
- 「計画通りのキャリア」を歩むよりも「変化に適応すること」が重要
- 「会社に忠誠を尽くす」のではなく「個人のスキルを高める」ことが長期的な価値になる
つまり、キャリアも「柔軟性」が重要 なんです。
③ 欧米人の契約に対する向き合い方—「完全」ではなく「実用的」
日本では契約書を細かく作り込み、「あらゆるリスクをカバーする」ことが重視されます。一方、オランダや欧米の多くの国では 「契約書にすべてを詰め込むことは不可能」 という考えがあり、ある程度の柔軟性を持たせるケースも少なくありません。
ただし、これは決して 「欧米の契約は適当」「信頼関係だけで成り立っている」 という意味ではありません。むしろ、
- 契約の目的を明確にし、実用的な範囲にまとめる
- 100%の網羅性ではなく、必要なポイントにフォーカスする
- 「絶対こうしろ」ではなく「こうするのが望ましい」という表現を使う
このアプローチの背景には、「すべてを事前に決めようとすると、かえって融通がきかなくなる」 という考え方があります。つまり、欧米では契約の細部を詰めるよりも、実際に問題が起きたときにどう解決するかの「ガイドライン」を共有することが重要なのです。
これはキャリアにも応用できます。
「すべて計画通りに進めようとするよりも、変化を前提に考える」 ことが大切です。
④ 「英語環境に飛び込んだら、勝手に伸びた」
オランダ人の 英語レベルは非常に高い です。中学を卒業すれば、職業に関わらずほとんどの人が流暢に英語を話せます。
そんな環境で、毎日英語で契約、交渉、ミーティング、食事…。最初はかなり苦労しましたが、気づいたら 「耳が勝手に英語に慣れ、想像と文脈で理解できるようになっていた」 んです。
日本の学校教育で英語を習うのとは、まったく違う感覚でした。これは、キャリアの成長にも言えます。
「学ぶ」より「環境に飛び込む」ほうが圧倒的に成長が早い。
もし今の環境が合わない、成長が止まっていると感じたら、
「今のまま頑張る」のではなく「新しい環境に飛び込む」ことを考えるのもアリです。
オランダ駐在で学んだのは、
✅ キャリアに「正解」はない
✅ 変化を楽しめる人が強い
✅ 成長したければ環境を変えるのが一番
「このままでいいのか?」と迷ったら、新しい環境に飛び込むことを考えてみてください。
次回は 「オランダでスカウトされた話—なぜ私が?」 をお届けします!企業が本当に求めている人材の条件とは?